私が専門的に治療方法のトリガーポイント療法について解説します。
鍼治療と聞くと、「肩こりや腰痛に良い」というイメージが強いと思いますが、今回ご紹介する治療法は実に多くの不調に対して効果を発揮しています。
トリガーポイント療法とは、痛みや不調の原因を筋肉のなかにできるコリ(硬結)と考え、そこへ鍼を使いピンポイントに施術をおこなう治療法です。
私たちの筋肉は些細なことで負担がたまります。すると自律神経が緊張して血管が収縮し、筋肉は硬くなり硬いシコリができます。これを硬結といいます。
この硬結のなかには、痛みや不調を生む直接の原因(引き金)になっている箇所があります。
これを痛覚過敏部位=「トリガーポイント」と呼んでいます。
トリガーポイントに鍼を打つと
・筋肉のむくみがほぐれる
・自律神経に働きかける
という効果があると考えられています。トリガーポイントは身体の表層より奥にあるため、唯一直接的な治療を施せるのが鍼治療なのです。
一見鍼治療とは関係なさそうですが、トリガーポイント療法は更年期症状(障害)と非常に相性がよい治療法で
頭痛や肩こりはもちろん、のぼせ、ほてりなどの自律神経症状のほかには表のような症例にも高い効果を発揮しています。
〈一覧表〉
頭痛
うつ状態
慢性疲労症候群
パニック障害
自律神経失調症
トリガーポイントへの施術が、どのように働いているかというと
①トリガーポイントに鍼があたる
②強制的に副交感神経(リラックス神経)が活性化
③交感神経(興奮神経)緊張を抑制
このように作用していると、考えられています。
ある患者様は、長年不調の原因を特定できずに病院を転々とされておりましたが、当院の首へのトリガーポイント治療で驚くほど改善された症例もあります。
更年期症状に悩みを抱えている方は、我慢強い傾向があるように感じられますが、症状が軽いうちは治りも早いものです。
突然ですが、私たちの脳は意外と鈍感で、痛みや不調が出ている部分を正しく特定できていません。
どういうことかというと、背中を蚊に刺されたとイメージしてみましょう。刺された部分というのは、痒みを感じてから手で腫れた箇所を触るまで「特定」はできないと思います。
腰痛を例にとって説明すると、「腰が痛い」この痛みの原因である『トリガーポイント』は中殿筋などの殿部の筋や、ハムストリングなどが関係していたり…と「腰から離れたところ」にあることが多いのです。
このように痛みの「原因箇所」を特定することは非常に難しいことです。ですが、トリガーポイント療法ならば触診でトリガーポイントを特定し痛みや不調の根本に直接アプローチできます。
症状や患者様の状態にもよりますが、早ければ初回の治療で効果を実感できると思います。
冷えの症状など改善に期間、回数が必要な症状もあります。
筋肉がたくさんついている肩甲骨を動かすと、背中まわりや首の血流が良くなり、肩こりなどが和らぎます。当院では“肩甲骨ぐるぐる体操”と呼んでいますが、肩甲骨の動きを意識して背泳ぎのように前から後ろへ腕を回す、反対にクロールのように後ろから前に腕を回す。この動きを20回ずつくらいすると効果的です。
冷えの対策には“交代浴”がおすすめです。冷え性の女性は、靴下を2枚重ねて履いたりしますが体を温めすぎるは逆効果で血管の運動能力が弱まります。
40~41度くらいのお風呂に半身浴するのが良いでしょう。少し温まったと感じたら、ひざから下だけに少し冷たい水をかける。それを繰り返すと血流が良くなり、冷えの解消につながります。