理学療法とは?
理学療法は、大きく二つの治療法にわけられます。
運動療法(関節を動かしたり、筋肉を鍛えたり、ストレッチングをおこなう治療法)
物理療法(機器で患部を温めたり、電気で刺激を与える、首や腰の牽引などをおこなう治療法)
治療法は、患者様の身体を検査・測定し,機能を評価して効果的なプログラムを組んでいきます。
例えば歩けない方がいたら、“歩けない”ことに対し、まず検査をしてどこに原因があるかを評価(分析)します。
原因は人により様々で、関節が動かない、筋力が弱い、痛みがある、歩くという感覚を忘れてしまっていることなどが考えられます。
評価(分析結果)に基づき、その方に必要なプログラムを立て、理学療法を実施していくのです。
理学療法は、骨折や変形性関節症、腰痛などの整形外科の疾患や、パーキンソン病などの神経系の疾患、脳卒中後の運動麻痺などが対象となります。また、近年では婦人科や泌尿器科の治療への介入も注目されています。ただし、理学療法士が理学療法を実施するには、医師の指示が必ず必要になります。
婦人科・泌尿器科の治療について
あまり広く知られていませんが、理学療法は婦人科・泌尿器科の治療にも高い効果を発揮します。
今では様々な研究が進み、腹圧性尿失禁に対する効果は80%以上とも言われ、医学的根拠も確立されています。
最近では、男女の性差というところに着目し、研究や治療が行われてきています。
女性には月経、妊娠出産、更年期など女性特有のライフステージや、妊娠出産に伴う腰痛、乳がん、骨粗しょう症、尿失禁など女性特有の症状・障害があり、それに合わせて理学療法も介入されるようになってきたのです。ウィメンズヘルス理学療法と呼ばれ、日本でも少しずつ広まってきています。
理学療法の特徴
理学療法の特徴は、個別性というところです。
理学療法は、個人の問題について検査を行いながら、一人ひとりを細かく評価します。効果的な治療をおこなうため、私はその人のキャラクター(性格)や治療中の表情(反応)まで見ていきます。評価後はその人に合わせた治療の目標を設定し、適切な運動療法や物理療法、徒手療法(マッサージ等、手技を用いる治療)などを通して治療していきます。
もうひとつの特徴は、トレーニングのやり方を覚えてしまえば自分で行えること。
マッサージのように受動的に治療を受けるものではないため、「自ら身体を治していく」という能動的な姿勢が必要になりますが、覚えた治療方法は一生患者様に寄添う財産になるはずです。
〈まめ知識〉海外ではあたりまえ?の理学療法
海外の方が理学療法の歴史が長いこともあり,臨床と研究が盛んにおこなわれています。
また、医師の指示がなくても診療がおこなえる、ダイレクトアクセス(独立診療)が認められている国もあり、医療先進国のアメリカでは理学療法士の開業が法的に認められています。
じつは理学療法士が介入すると、改善する症例がたくさんあるのでこれから益々発展していく分野だと思います。