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更年期症状の漢方治療 |~治療編~|

更年期症状の漢方治療

更年期症状の2大治療のひとつともいわれる漢方治療は、月経困難症、ストレスが原因で起きる疲労感や動機などにも高い効果を発揮するので、女性の強い味方になってくれることでしょう。

代表的な更年期症状と、処方される漢方薬の組み合わせ例をご紹介します。

血のめぐりが滞った瘀血おけつによるホットフラッシュ・のぼせ・冷えなどは、瘀血を取り除く「桂枝茯苓丸けいしぶくりょうがん」が効きます。
イライラは肝の機能不調によるものが多く、その場合は肝を補い、気・血をめぐらせる「抑肝散加陳皮半夏よくかんさんかちんぴはんげ」などが効果的です。
胸で動悸がする・怒りっぽいという時には「加味逍遥散かみしょうようさん」などがよいでしょう。
精神的に不安になりやすい人の場合、血のめぐりが悪くのぼせが強いなら「桂枝茯苓丸」がよいですが、気のめぐりが悪く、ヘソの周囲がおちつかない場合は「甘麦大棗湯かんばくたいそうとう」が効果的です。

当薬局での実際に処方した例をひとつあげます。
普段からイライラしやすく、特に生理前は症状がひどく、夫婦喧嘩が絶えなかった方に、加味逍遥散を処方したところ生理のあるたびに症状が改善され、ほぼ3ヶ月で憑き物がとれたように治りました。

症状別おすすめ漢方薬(一例)

症状 漢方薬
ホットフラッシュ・冷え・のぼせ 桂枝茯苓丸など
イライラ・精神不安 抑肝散加陳皮半夏、甘麦大棗湯など
不眠 加味逍遥散、抑肝散加陳皮半夏など
動悸 加味逍遥散、甘麦大棗湯など

漢方薬の飲み方・期間について

漢方薬には、煎じ薬や錠剤、顆粒、液体タイプなどがあります。煎じ薬は、煎じる手間や臭いもあり、最近は選ぶ人が少なくなりましたが、剤型のなかでは一番効果があります。大きな効果を期待する方や慢性的に悩んでいる方なら、一度は試す価値があります。
飲み方は、細粒や顆粒などは水よりもお湯に溶かして飲むとよいですね。温かいもので飲む方が、効果が出ます。葛根湯なら、胃を補い、身体を温める生姜湯で飲むのがおすすめです。

飲むタイミングは通常、食事と食事の間、食後約2時間くらいがよいとされています。ただし、薬によっては異なるものもあるので、処方されたときに聞くようにしましょう。

飲む期間は、症状によりますが、体質改善のため基本的には飲んで治った期間の3倍、飲み始めて1ヶ月で治ったら、3ヶ月は飲み続けるとよいでしょう。
これはコップから溢れた水を不調に例えるとわかりやすいと思います。症状は治まっても身体の中には、不調の原因となった水が残っているとイメージしてみてください。
漢方薬はこのように原因に働きかけ、体質改善をはかるので慢性疾患にもおすすめします。

入手先による違い

入手先 保険 生薬の制限
漢方専門病院 基本は保険適用、薬によっては適用外
保険適用、薬によっては適用外
※病院によって異なるので、要問合せ
保険適用の場合は、
処方できる生薬に制限あり
一般病院 保険適用 処方できる生薬に制限あり
漢方薬局 保険適用外 幅広い生薬の処方が可能
一般薬局 保険適用外 一般用の市販漢方薬

費用について

病院で処方される医療用の漢方薬は保険適用、医師の処方箋がなく薬局で購入するものは適用外になります。処方される種類や数でも異なるので、費用は一概にいくらとは言えません。当薬局では、証を立てて処方して1カ月だいたい7500~9000円くらいです。

〈まめ知識〉チョコレートが血を汚す!?

普段の生活で気をつけていただきたいことの一つに食事があります。

漢方治療では、けつすいのバランスを整えることが非常に重要です。なかでも血は、婦人科系の疾病と深く関わっており、この養生を知っておくと健やかな更年期を過ごすことはもちろん、外見の美しさにもつながります。

チョコレートやケーキ、和菓子やハチミツなど、甘みの強いものは血を汚すので、更年期の症状を悪化させます。極端に肉食が多くて野菜が少ないのもよくないし、生クリームやチーズなども瘀血の悪化の原因になりますね。症状を軽くしたいなら、それらは避けた方がよいでしょう。30代、40代の方も日頃から血を綺麗にする食事を心がけることで、美肌や、更年期症状の予防対策につながります。

【教えてくれた先生】根本 幸夫先生

詳しい経歴や治療にかける想いはコチラ

【資格】

薬学博士

【所属】

漢方平和堂薬局

(社)日本漢方連盟

総合漢方研究会

昭和大学薬学部

【書籍】

『マンガでわかる東洋医学』(池田書店)

『東洋医学おさらい帳』(じほう)ほか多数

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